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2025/6/12

福島県田村市と「災害時における応急生活物資の供給協力に関する協定」を締結

福島県田村市と株式会社トヨトミは2025年5月16日(金)、田村市役所にて「災害時における応急生活物資の供給協力に関する協定」の締結式を執り行いました。この協定は、両者の連携を図り、災害発生時における被災者への物資供給を迅速かつ円滑に行うことを目的としています。

弊社の自治体・団体との防災協定は、今回の田村市との締結で2団体目となり、福島県内では初めてです。最初の協定は昨年8月29日に北海道の豊富町と締結されました。

今後も全国の自治体と同様の協定締結を視野に入れており、地域の安全と安心を支える企業として、引き続き貢献してまいります。

協定締結式の様子

式典では、田村市の担当者から協定の概要説明があり、白石高司市長(以下、白石市長)と当社代表取締役社長 中村 福太郎(以下、中村)による協定書への署名が行われました。署名後には記念撮影も実施され、和やかな雰囲気のなか、防災協力の第一歩が踏み出されました。

白石市長は「本協定により、災害時における市民の安全と安心をより一層確保できることを嬉しく思います。」と語り、中村も「地域の防災力向上に貢献できることを光栄に思います。今後も防災に役立つ製品開発と供給を通じて社会貢献を続けていきたい。」と決意を述べました。

本協定により、田村市内に地震や風水害などの自然災害が発生した際、田村市の要請に基づき、弊社から被災者に対して以下の応急生活物資が供給されます。

  • 石油ストーブ
  • スポットクーラー
  • 扇風機

特に冬期の災害時には暖房機器の確保が課題となりますが、本協定によりその供給体制が整うことになりました。また夏場の猛暑対策としてのスポットクーラーや扇風機の供給も含まれており、季節を問わず市民の安全を守るための環境整備が進められます。

協定締結の背景

実際に田村市の倉庫に備蓄された手回し点火ストーブRS-G30N

協定締結の背景には、東日本大震災や令和4年の福島県沖地震など、冬期間の災害対応時に避難所が暗く寒い状況であった経験があります。避難所環境の改善は被災者の心身の健康を守るうえで非常に重要な課題です。

田村市は、こうした教訓を踏まえ、避難所環境の改善を目的として2023年10月に弊社の手回し点火式石油ストーブ「RS-G30N(ぐるんPa )」を50台納入。弊社は以前より田村市の防災イベントなどに協力してきましたが、より一層の協力体制を整備するため今回の締結に至りました。

手回し点火式ストーブの技術と防災力

写真は「RS-G24N」
ハンドルをぐるっと回して点火

田村市にご採用いただいた弊社の手回し点火式石油ストーブ「RS-G30N(ぐるんPa )」は、乾電池やライター、マッチを必要としない点が最大の特徴です。災害時には乾電池やライターなどが売り場から不足する事態が頻発しますが、この製品は手回し発電による点火としているため、これらの消耗品がなくても確実に使用できます。

手回し点火の仕組みは非常にシンプルで、本体上部のハンドルをぐるっと回すだけで点火装置が作動。火種がつけば後は通常の石油ストーブと同様に使用できます。このシンプルな操作性は、災害時の混乱した状況下でも高齢者や子どもが扱いやすく、避難所での運用に最適です。

この技術は東日本大震災の経験から開発されました。当時、カセットボンベや電池が売り場から全て無くなってしまい、ストーブだけあっても点火できないという状況が現場で起きました。この出来事を機に、電池がなくてもハンドルを回すだけで火をつけられる製品を開発。まさに災害の教訓から生まれた防災製品といえます。

白石市長の防災への思い

白石市長は、「石油ストーブを探している中で、乾電池、ライター、マッチがいらない石油ストーブがあるということを聞きました。ストーブを使おうとしたら電池が切れていて点火できなかったという経験は多分誰もがあると思います。今は煙草を吸う人も減っていますから、ライターやマッチがないということも普通にあります。トヨトミの手回し点火ストーブならそういった災害時でも安心して使えると思いました。」と導入理由を語りました。

また、「全国の自治体で災害への備えとして実施している防災訓練は台風の時期である夏場におこなわれることが多いんですね。冬場に備えた防災備蓄が全国で進んでいないのは夏場に被災する意識がより強かったという理由もあると思います。ただ冬場の長期的な避難を想定すると停電でも使える石油ストーブは不可欠だと考えました。」と冬期の防災対策の重要性も強調しています。

白石市長は2021年4月に就任して以来、「危機管理」を公約の柱の一つとして掲げ、様々な防災体制の強化に取り組まれています。

田村市の先進的な防災への取り組み

田村市では近年、市民の防災意識を高めるための様々な取り組みを積極的に展開しています。

特に注目されるのが「避難所の宿泊体験」という試みです。これは行政だけの避難所設営訓練ではなく、一般市民に実際に避難所となる総合体育館などに宿泊してもらい、避難所生活を体験してもらうというものです。実体験を通じて避難所生活に必要なものを把握し、いざという時の心構えを育むことが狙いです。

昨年実施された宿泊体験では、高齢者から乳幼児まで様々な年齢層の市民が参加し、非常に好評だったといいます。また地元の船引高校では、「アクティブリーダープロジェクト」として生徒と東日本大震災の被災者との交流を通じて地域のリーダーを育てる取り組みも行われており、生徒たちも避難所体験に協力しています。

さらに毎年10月には「ふれあい防災」と題して消防や様々な防災体験ができるイベントを開催。2024年は天候に恵まれなかったにも関わらず約3,000人もの市民が参加し、参加型の様々な防災体験コーナーや、防災食の食事体験などが好評を博しました。

白石市長は「いつか田村市の全市民が参加する防災訓練を開催したい。」という目標を掲げています。「現在は各地区ごとに自主防災組織を立ち上げて組織構造、防災用備品を整えながら、ひとりひとりの意識を徐々に高めているところです。しかし練習していないことを本番ではできません。全市民が防災訓練に参加して、いざというときに一丸で対応できる態勢を整えていければと思っています。」と語りました。

田村市の地域振興と今後の展望

左から渡辺部長、小野副市長、白石市長
代表取締役社長 中村、営業部長 川浦、仙台支店長 佐々木

締結式後の懇談では、防災に関する情報交換にとどまらず、地域振興に関する幅広い話題も交わされました。

白石市長と中村は、田村市の特産品や観光資源について活発に意見を交換。特に田村市が力を入れている「昆虫の聖地 田村市」としての取り組みが話題となりました。田村市では1991年に開園した昆虫のテーマパーク「ムシムシランド」が「日本で唯一の虫の楽園」として知られています。2023年7月には、様々なカブトムシと実際に触れ合える「カブトムシドーム」や国内外の昆虫を観察できる「昆虫館」が新築移転され、東日本大震災発生後最多の来場者数を記録しました。

また白石市長からは、田村市のふるさと納税への取り組みや特産品開発についても紹介がありました。「エゴマ油」と呼ばれる地域特産品は、αリノレン酸が豊富に含まれており、その健康効果から人気を集めているとのこと。国が農産物や食品をブランドとして保護する地理的表示保護制度(GI)に登録されており、安心・安全な商品として評価されています。

白石市長は「我々のふるさと納税は米が最高の人気商品でしたが、エゴマ油が健康志向の方に支持され、最近では非常に好評です。ふるさと納税は単に税収を増やすだけでなく、地元の商品が全国に出るという点でも素晴らしい制度だと思います。」と語りました。

今回の協定締結により、災害時の避難所環境改善と市民の安全確保に向けた態勢が一層強化されるとともに、地域振興や産業発展においても新たな協力関係が生まれる可能性が開かれました。


先日田村市を訪問した際に、白石市長をはじめ、5名の方に「RS-G30N」をご採用いただいた経緯や田村市の防災対応など様々なことをお伺いしました。インタビュー記事を公開しておりますので、ぜひご覧ください。


田村市関連URL

福島県田村市ホームページ
https://www.city.tamura.lg.jp/
日本で唯一の虫の楽園「ムシムシランド」
https://mushimushiland.com/


※本記事に掲載の情報は2025年6月時点のものです。

photo & text / kato


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